【プロダクトナウ/開発者インタビュー】オリジナル和紙壁紙「KOZO VI」 トミタ
- アートインテリアタムラ
- 4月14日
- 読了時間: 3分
現在、日本の壁紙市場は約99%がビニル/プラスチック系壁紙ですが、日本には和紙や箔、織物など世界に誇る素材や技術、技法があります。この日本のすばらしいものを次の時代につなげていく必要がある、そんな想いから、1988年に鳥取・因州和紙の方々とともに「KOZO」はスタートしました。それからシリーズ5までを展開し、その想いをより強めてきたなかで、次の第6作目の開発を控えた2年前に当社の創業100周年を迎えました。
この創業100周年を契機に、改めて後世に残すべき壁紙とは何かを考えるため、これまでの常識や考え方をすべて取り払い、1年間をかけて一から見つめ直すということを試みたんですね。
一般的に壁紙を開発する際には、防火認定や価格、施工性などを考慮しながら、さまざまな制約のなかで進めていく必要があります。そういったことを一旦忘れて、自由な発想で考えていけば新しい方向に進めるのではないか。そこで鳥取の因州和紙の職人の方々、広島の(株)歴清社さんとともに3カ月ごとひとつの季節(春・夏・秋・冬)をイメージしたアート作品づくりを実施したわけです。「夏」は鳥取県沿岸の短い夏に見た、鮮やかなブルーを基調とした海をテーマにしました。また「冬」は飛行機から見た、富士山やヨーロッパのアルプス、シベリアの風景など世界はひとつだという想いも含めて作品に表現しました。
こうした創作活動を通じて、新しい技法や斬新なアイデアが生まれてきました。そして何よりも、若い職人たちが新しい技術にチャレンジするという前向きな姿勢が生まれるようになりました。この創作活動をベースに「KOZO Ⅵ」の企画・開発はスタートしたのです。
これまでの開発は、「現代の名工」にも選ばれたような熟練の方に一点ものを製作してもらって、それを壁紙としてどのように製品化していくか、という受け身の手法が中心でしたが、今回は現場の職人、特に若い人たちから、こうした技法を使って表現してはどうか、という提案がたくさんでてきました。
もちろん、実際に製品化する際には安定性の問題、あるいは一枚の壁紙なら良いけれども空間としてはどうなのか、という企画側の視点もありますから、こちらからも意見を出し、細かく調整しながら形にしていきました。
新デザインのひとつ、「光華(KOUKA)」は、職人が刷毛で幾重にも線を重ねたデザインとなっています。一枚一枚すべて手描きですから非常に手間がかかりますが、重ねたことにより立体感と奥行きが表現できています。まさに妥協なき職人技です。
また「堅氷(KENPYO)」は、和紙をつまんで形をつくり、その上部に色をつけて広げることで割れた氷のような表情になります。今まで、46センチ角の加工が限界と決めつけていたサイズを46×92センチの大判で製作したい、という提案が実現しました。それにより氷が大きな湖面に広がるような壮大なデザインとなりました。
防火認定についても、従来は不燃を重視してきましたが、技法によっては準不燃を取得するという判断をしました。和紙を絞りシワ加工をしてから染色すると、その部分が濃く染まり表情がとても豊かになります。そのぶん厚みが生じるため準不燃となりますが、「花筏(HANAIKADA)」のようなとても上品な壁紙となりました。カラーも「KOZO」は自然素材ということもあって、これまで土色のようなアースカラーが多かったのですが、「青谷(AOYA)」においてブルーグレーがでてきたのも、創作活動の経験によるところでしょう。
このように、これまでにはない日本の技術力を最大限に活かしたコレクションに仕上がりました。カタログやデジタルブックも用意していますが、それだけではこの素晴らしさが伝えきれないと考えています。まずは、ショールームにお越しいただき、その空間や大判サンプルをご体感ください。
オリジナル和紙壁紙「KOZO VI」詳細ページ
トミタのホームページ

光華(KOUKA:TKR-3901)

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